黒褐釉兎形壺|特選画廊|ヨコタ博物館

黒褐釉兎形壺

■DATA:高さ9㎝/径13㎝×11㎝/12世紀~13世紀

クメール陶器は動物をモチーフにしたものが多く存在し、写真の壷のように丸みを帯びたものや、線刻で繊細な模様を描かれた特徴的なものが多数出土しています。この兎形壺の中には、かなりの石灰がこびりついて残っており、王侯貴族がベテルチューイングの際に使ったものではないかと推測されます。ベテル・チューイングとはキンマ(コショウ科コショウ属の蔓性の常緑多年草)の葉の内側に水で溶いた石灰を塗り、ビンロウジ(檳榔の種子)を薄く切って乾燥させたものを置いて巻き、これを口に含みチューインガムの様に噛む習慣のことです。キンマには抗菌作用があり、歯が強くなると信じていたようです。またビンロウジにはアルカロイド成分が含まれており、それにより覚醒作用を味わうとも言われています。いずれにせよ800年以上前からベテル・チューイングの習慣があったことが推察されます。