一二、三年前、インドネシア、バリー島旅行していたときのことである。島の博物館の前に開いていた少々胡散臭い。おかしな土産物屋に、ぶらりと立ち寄ってみた。そこで、大きな葉に書かれた経のようなものを見つけ、興味をそそられるとりあえず購入した。その後調査して、貝葉経と言うことが判明した。
入手後、NHKテレビで中国のお寺の取材番組があり、貝葉経は寺の宝物と言う説明であった。葉は、ヤシの一種であるが手で触ると経が実になめらかに彫られているのに気づいた。辞書等には、貝葉経は鉄筆で彫り、黒い鉛で埋めていくと書いてあるが植物繊維の上を彫るのは至難の業であり、あまりにも細やかすぎる。一体何で彫ったのか、不思議に思い多くの人に聞いたり、自分でも調べてみたが、結局わからずじまいだった。
それから三年後、スリランカで偶然、丈が長く先の鋭いペンを見つけた。ペン先を火で焼き、字を彫ってゆく焼きペンと知り、初めて貝葉経とドッキングしたわけである。貝葉経が焼きペンで書かれているのは、かなり正確な事実であり、私の新発見と自負もしている。また、長い時を経て、疑問に思っていたことが分かった時は非常に嬉しかった。インドネシアの貝葉経は、ヒンズー教らしいがその後、仏教の貝葉経をビルマで多く見つけた。